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映画やドラマ、本が大好き♡おすすめのものをレビューしていきます。新作から旧作まで幅広く書いていきたいと思います。

ケネス・ブラナー監督、主演「オリエント急行殺人事件」

こんにちわ。咲めぐみです。

 

今日は昨年の年末に映画館へ観に行った「オリエント急行殺人事件」についてレビューしたいと思います。

 

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1934年にアガサ・クリスティが発表した小説「オリエント急行の殺人」が原作。今までも幾度となくドラマ化、映画化されてきた名作ミステリーです。2017年公開の最新作はケネス・ブラナーが監督と主演を務め、ジョニー・デップペネロペ・クルスミシェル・ファイファージュディ・デンチなどなど、超豪華キャストが作品を彩っています。

 

さて、簡単なあらすじからです。

 

エルサレムで事件を解決した私立探偵のエルキュール・ポワロが別の事件の依頼を受けたことから乗車したオリエント急行の車内で殺人事件が起こります。被害者は、アメリカの富豪エドワード・ラチェット。彼は自分の身を案じて事件の起こる前日にポワロに身辺警護を依頼していました。(ポワロはその依頼については断っています)身体の12カ所を刺されて死亡していたラチェット。ポワロは乗客全員に聞きこみ調査を行いますが、彼ら全員にアリバイがあったことがわかります。

 

程よいテンポで進むストーリー。オリエント急行に乗車する人物たちの、どことなく秘密めいた影のある感じや、意味ありげなセリフから「え、これってどういう意味?」「この人とこの人は知り合いなの?もしや共犯なの?」と、どんどん映画に引き込まれていきます。さらに、威圧的で粗暴な態度、汚らしい外見から、乗客のなかで悪目立ちしていたジョニー・デップ演じるエドワード・ラチェットの殺害から始まるポワロの謎解きまでの展開がとても丁寧。一人ひとりの人物にフォーカスをあてながら、しっかりと描かれていきます。嘘か真実か、誰を信じれば良いのか、霧に包まれているような感覚からの哀しい真実の謎解き。そしてラスト、ポワロの出した結論には賛否両論あるかもしれません。私は、、「あり」だなと思いましたが。

 

ひとつの家族の幸せが壊されたとき…

 

以下、ネタバレ含みます。

 

オリエント急行の車内で殺されたエドワード・ラチェットは、過去に金銭目的で、ある家族を破滅させています。ラチェットは金銭を手にして、目的を達成。ただ金銭を得るためだけの手段としてしか、その家族をみていなかったに違いありません。罪の意識もなく、その後も贅沢に暮らしていたのですから…。

 

でも、そのひとつの家族の悲劇は、そこだけでとどまってはいなかったのです。なぜなら、その家族は、たくさんの人たちの人生とつながっていたからです。

 

その家族とつながっていたのが、オリエント急行に乗車した12人の乗客。

 

ラチェットにその家族の幸せが無残にも奪われたその日から、12人の人生も止まったままだったのです。ラチェットに「死」をもって罪を償わせたところで、12人の悲しみはなくならないけれど、その悲しみを抱えながらもあらたな人生を踏み出すために、「ラチェットの殺害」は彼らにとって必要なことだったのだと思います。

 

何にも代えられない、かけがえのないものを壊され、失った者たちの悲しみ。想像できないような痛み、絶望感、憎しみ、があったに違いありません。それを心に持ったまま生きることの大変さは言葉では言い表せないでしょう。しかも、ラチェットに罪の意識はなく、罪を償うことも考えられない。殺人は決して許されることではないけれど、他にどうしようもなかった。悪人であっても「人をひとり殺した」という十字架を背負うことになるわけで、そうせざるを得ないくらいの思いが突き動かした行動だったのですよね、きっと。

 

人と人とのつながり。深ければ深いほど、幸せや悲しみも大きくなります。その人が存在するだけで幸せな人がいる。それを忘れたらいけないんだなと思わせられます。

 

魅力的なキャスト

 

最初に書いたように、超豪華キャストな「オリエント急行殺人事件」ですが、そのなかでも私の独断で、特に注目したいキャスト2人をピックアップしたいと思います。

 

出演シーンは他のキャストに比べると少ない感じではありましたが、すごく印象に残った2人…。それが、アンドレニ伯爵夫妻を演じたルーシー・ボイントンと、セルゲイ・ポルーニンです。

 

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エレナ・アンドレニ伯爵夫人を演じたルーシー・ボイントンは1994年生まれのイギリスの女優さんです。2006年公開のレネー・ゼルウィガー主演の「ミス・ポター」で少女時代のビアトリクス・ポターで映画デビューされました。

 

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当時の写真はまだまだ子どもで今とは印象が違いますね!当時はかわいらしい感じでしたが、魅力的な大人の女優さんに成長されていますよね。「オリエント急行殺人事件」でははかなげながらも妖艶な雰囲気を醸し出しているところがとても印象的でした。

 

そして、そのご主人のほうのルドルフ・アンドレニ伯爵を演じたのがセルゲイ・ポルーニン。

 

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1989年ウクライナ出身で、英国ロイヤル・バレエ団史上最年少でプリンシパルに任命された世界トップクラスのバレエダンサーだった方です。人気絶頂で突然の退団をされたのも注目されていましたよね。今作では、繊細ながらも暴力的、その危うげな魅力が画面からも伝わってきました。

 

2人でいることでなんとか倒れないで立っていられるような儚さがあって、出演シーンは短めながらも強く印象に残っています。

 

ドラマのある重厚なミステリー、「オリエント急行殺人事件」。ぜひまた観たいと思います!

 

 

 

ユースケ・サンタマリア主演「火の粉」・ドラマレビュー

こんにちわ。咲めぐみです。

 

今日はNetflixで観たドラマ「火の粉(ひのこ)」についてレビューしたいと思います。

 

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原作は雫井脩介さんのサスペンス小説(こちらはまだ未読ですが…)。

2005年にも原沙知絵さん主演で単発ドラマが作られているみたいですが、今回観たのは2016年に放送されていたユースケ・サンタマリアさん主演の連続ドラマのほうです。フジテレビ系列で『オトナの土ドラ』として、土曜日の23時40分から放送されていたんですね。……全然知らなかったです、こんなに面白いドラマがやっていたなんて!でも、Netflixでは続けてドドドッと観れちゃうので、ぼーっとしてるわりにはせっかちな私には合っているかな。まあ、寝不足にはなりますが…。笑

 

「火の粉」は、殺人犯でありながら無罪判決になったユースケ・サンタマリア演じる「竹内さん」が、当時無罪判決を言い渡した元裁判官の梶間勲(伊武雅刀)の家の隣に引っ越してくるところから話が始まっていきます。「自分を無罪だと信じてくれた」梶間勲に対する感謝の思いから、梶間家の人たちと関わりを持っていく竹内だが…。

 

最後まで見て思ったことは…

 

人に自分を好きになってもらうのって、すごく難しいことなんだな、ということです。

 

人って、何かプレゼントしてもらったり、何か親切にしてもらえたり、困っているときに助けてもらったとしても、「そうしてもらったから」その人のことを好きになるわけじゃないんですよね。

 

もちろん、そういったことがきっかけで仲良くなったり、お付き合いに発展したり、ということはあります。でも、それは自分自身が「特別な思いを抱いた人」に対してだけです。そこまでじゃない人から、妙に親切にされたりプレゼントをもらったら、誰でも気味が悪いなと思ってしまうはずです。

 

自分の好意を相手に押し付けることでしか、行動できないのが「火の粉」の主人公竹内さん。しかも、自分の好意を拒絶されると一方的に相手に憎しみを抱く。恋愛ドラマではないけれど、一方的な強烈な片思いを見ているようでした。竹内さんは、子どもの頃亡くなった母親に対して強い愛情を持っているのですが、その母親の愛情の示し方が「相手に尽くす」ことだったというのがそもそもの原因だったのではないかと思うのです。

 

人を愛すること=その人に尽くすこと。その方法しか知らなかったんですね。

 

直接出てきてはいないものの、母親の影響ってすごい!!と思わずにはいられない内容でした。人は自分がされた方法でしか、人を愛することができないのか…と。私自身も母親とうまくいかなかった時期が長いので、今でも母親の呪縛に囚われているような考え方がでてきてしまうときがあります。でも、人は変われるはず、と信じています。何がきっかけで変われるのか、それは色々だと思いますが、やっぱり一番影響が大きいのは「人」かな、と。「火の粉」の竹内さんも最後は梶間家や自分を愛してくれた琴美の存在で、何か変わってくれた…と思いたいです。

 

最終回まで観ると、「仲良くなりたかった」、「家族の一員としての居場所が欲しかった」ただそれだけ、その純粋すぎる思いが彼の心の奥底にあると思うと、うまくできなくて叶えられない現実にせつなくなります。

 

ほんと、純粋な気持ちって美しいけれど、一歩間違えると恐ろしい狂気になりえますよね。

 

あ、あとちょっと付け加えると、最初の回に出てきた梶間家の介護状態のおばあちゃんが、意地悪~~と思っちゃいました!他の家族には何十万単位で遺産をあげているのに、お嫁さんに「三万円」ってないですよね。しかもそれを家族みんなの前で、お嫁さんに読み上げさせるなんて、性格悪すぎ…。

 

最後に、孤高に竹内さんと戦う雪美役の優香ちゃん、かわいかったです♡